だれでもその人の物語を持っている
病気についてもその人の物語がある
ナラティブ・ベイスト・メディスン(Narrative-Based Medicine)またはナラティブ・メディスン(Narrative Medicine)という言葉があります。
「物語にもとづく医療」「物語と対話にもとづく医療」などと訳されています。
通常の医療は統計的に証明される科学的根拠(エビデンス)にもとづいた診断・治療を重視しており、エビデンス・ベイスト・メディスン(Evidence-Based Medicine : EBM)と呼ばれますが、それに対比して造られた言葉とされています。
この考え方の発端には、どんなに“科学的”な根拠にもとづいた医療を行っても、患者さんの満足感や医療者の達成感が得られないことがある、というジレンマがありました。
ナラティブ・ベイスト・メディスンは、患者さんから語られる「病気になった理由」、「経緯」、「症状」、「病気についてどのように考えているか」といったお話から、身体面だけでなく、精神や心理状態、社会的立場などを含むあらゆる要素によってその人を把握し、治療方法をともに考えていく医療のことです。
自らの病気について語るということは、いったん痛みやつらさを超えた立場にたって、病気の意味をかんがえることにつながります。
自身の人生を俯瞰してみることによって、現在の病気や症状にはどんな意味があるのか、理由、目的をかんがえることです。
どんな病気にも症状にもかならず理由や目的がある、そこをかんがえるところから、治癒への道が見えてくるのではないでしょうか。
そして病気が治ったあとも続いていく人生をどのように生きていきたいのか、という問いと向き合うことは、じつは何よりも治癒に必要なことなのです。
あるいは病気とともに生きていくという道を選んでもよいと思います。
いずれにしても、この世界で人の生命は永遠ではありません。
現在の病気は、限りあるその人の生命をどのように輝かせていくのか、それを深く見つめるためのプロセスのひとつとして存在しているのです。
一人でかんがえることはもちろん大切ですが、それを言葉で表現して伝え、理解してくれる誰かと分かちあうこともたいへん意義のあることです。
病気について話したことも、病気の意味をかんがえたこともないのであれば、話していくうちに何かこころが動いて感じとれることがかならずあります。
あなたの胸のうちを話してみませんか。
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