「医食同源」と昔から言われてきました。
食べたものによって身体がつくられ、脳もつくられ、その身体(body)のなかに精神(mind)、たましい(spirit)が宿ります。
健康のために食事はもっとも重要であり、どんな病気であっても食事によるアプローチは可能です。
どんな食事をするのがよいのでしょうか。たくさんの食事療法が提唱されています。
相反するものでありながら、それぞれでよい結果を出している人がいるのも事実です。
いったい何を食べるのがよいのか、迷ってしまうかもしれません。
何を食べるかは、どう生きるかと同じこと。その人に合った食事があるのです。
それは自分で選択するもので、家族の愛情であっても周囲の善意であっても押しつけられるものではありません。
ほんとうに身体が必要とするものに気づき、心から納得して実践することのできる食事がよいのです。
あなたに合った食事療法をともに探し、実践していくお手伝いをします。
疾患とその病態に応じて強調される注意事項がある。薬剤と食事の相互作用を考慮する。
栄養素の“摂取基準”が設けられている。
“カロリー”という概念から考えることが多い。
栄養素のはたらきを細胞と分子のレベルで考え、各種検査によってその過不足を評価する。
腸内環境、炎症と免疫、糖代謝を重視する。
添加物や重金属など有害物質の影響を考慮して対策をする。必要に応じてサプリメントを利用。
野菜・くだものなど植物性食品を中心とし、動物性食品は必要に応じて種類をえらんで適量を摂取する。
アルカリ性食品を多く摂る。食品の調理方法や組み合わせ、食べる順番も考慮する。
私自身はケイシー流の食事療法とプラントベースホールフード(Plant-based whole foods : PBWF)の考え方に共感し、できるかぎり実践していますが、それも万人に合うわけではないと考えています。
そして日本人にはやはり伝統的な和食がよいと思います。
そもそも日本人の体質に合うと感じているのと、食の問題点を考慮すると総合的に和食のほうが安全と思われるからです。
身体をつくるのはまず食事です。その身体のなかで“こころ”も機能しています。
思考や感情などに関係する体内物質も栄養素の過不足によって影響を受けます。
双方向に関係しているので、食習慣を形成するのも“こころ”のはたらきです。
つい食べ過ぎてしまったり、特定の食品が欲しくなったりしてしまう心理的要因に気づくことが大切です。
食べものはすべて生命です。食べるときには物質だけでなく、生命の波動やエネルギーも取り入れています。
愛情を込めて作られたかどうかによっても違うでしょうし、喜びや悲しみなど食べるときの感情もそのまま取り入れていると言えるでしょう。
原則として「地球環境によくないものは人体にもよくない」はずです。
ヒトも地球の一部だからです。
食卓にあがるまでにその食品がどのようなルートを辿ってきたか、本来はそこまで考慮したほうがいいのでしょう。
さらに食糧問題とエネルギー問題は相互に関連しているものであり、70億人が同じことをやっても大丈夫な方法を目指したいと思います。
現代では“食”はビジネスに組み込まれています。
そのために残念ながら本来は必要のない物質が使用されたり、不自然に加工されたりすることが多くなってしまいました。
やむを得ない場合も意図的な場合もあるでしょう。
それぞれは微量であっても蓄積するとその影響は無視できないと考えられ、病気との因果関係も懸念されます。
また、個々の食品についての情報が氾濫しており、そこにもビジネスが見え隠れします。
ほんとうによいもの・不要なものを見極めて取捨選択したいものです。
食べることは生命維持だけが目的ではなく、喜びであり、コミュニケーションでもあります。
食事療法じたいがストレスになっては本末転倒で、心のバランスが保たれるほうが大切です。
また、その人にとって食事よりも重要なこと、優先させたいことがあるかもしれません。
どんなに無理をしてもやりたいことがある、そういう時期もあるでしょう。
がんばってくれている自分の身体をいたわりつつ、そのなかでベストを尽くすという選択もあっていいと思います。
現実的に不可能な食事療法の提案はストレスになるだけです。
どんなに効果的な方法であっても、法外な値段がするのであれば限られた人しかできません。時代の制約というものもあります。
経済的事情、家庭環境、生活環境、時間的制約、調理できるかどうか・・・それぞれの事情を勘案しながら、継続できる方法をともに考えましょう。
当院では一般診察(身体測定、血圧、脈拍、体温など)とともに分子栄養学的観点で血液検査から評価します。
検査データには個体差もあり絶対的なものではありません。
ひとつの側面として捉え、ご自身の体感もふくめて総合的に評価します。
意識的に「身体の声を聴く」ようにしましょう。
ほんとうにその食べものを必要としているかどうか、食べる前に自分に問いかけ、食べた後の体調を観察することです。
必要ではないけれど食べたいと思うのであれば、その理由を考えてみましょう。
また、合う食品・合わない食品を特殊な検査によって選別する方法もあります。
その方法が信頼できると判断したのであれば、したがってみてもよいと思います。(当院では取り扱っておりませんのでご案内のみになります)
サプリメントは効率をよくするために短期的な使用にとどめるのがよいと考えます。
食事の代用になるものではありません。
多種多様なサプリメントが販売されていますが、製品による差異も相当あるのではないかと思います。(ご提案する場合がありますが当院での取り扱いはしておりません)
疾患によっては保険診療で管理栄養士による栄養指導が受けられます。
栄養学の専門知識は私がたちうちできるものではありません。
ただそこに私が感じるのは、他の食事療法を全般的に否定しているように思えること、カロリーや必要摂取量などの“基準値”が重要視されすぎているのでは?という疑問です。